トピックス

2009-12-01

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判例

市民オンブズマンに対する名誉毀損訴訟について

橿原市民オンブズマンが、橿原市ゴミ処理場及びし尿処理場の建設に関して不明朗な金銭の流れがあるのではないかという理由で、市議会に対し、いわゆる100条委員会の設置を要望する内容の書面を作成し、議会事務局等に持参したことにつき、当該行為が名誉毀損にあたるとして、市議会議員の1人から損害賠償の支払いを求められていた訴訟において、奈良地裁葛城支部は、2009年11月26日、同議員の請求を棄却する判決を行いました。この判決は、市民団体の言論活動の自由を尊重するものであり、極めて正当なものと理解しております。
 このところ、行政の無駄遣い、不明朗な金銭のやり取りを監視する活動をしている市民団体に対し、公人の最たるものであるところの地方議会議員が、言論活動によって対抗するのではなく、「名誉毀損」を口実に、直ちに司法機関に訴えるというケースを、連続して担当しました。その中で、公人に対する意見や論評を比較的大きく保障する方向の裁判例が蓄積されてきているにもかかわらず、言論活動というものが容易に萎縮してしまう危険性があることを痛感しました。 (文責兒玉)